太陽近傍に位置する明るい太陽型星の磁気活動性

岡山188cm望遠鏡と高分散分光器HIDES-Fを用いた4年間に渡る集中的で高頻度なモニター観測によって、太陽近傍に位置する13個の明るい太陽型星の磁気活動性の変動とその特徴を明らかにしました。晴れている日はこの天体を毎晩必ず1回は観測する!といったような柔軟な観測スケジューリングができる188cm望遠鏡の特長を生かした研究成果です。

太陽型星の磁気活動周期はこれまで主な活動性指標であるCa II HK線によって報告されてきましたが、今回、うしかい座タウ星(τ Boo、F7V)とエリダヌス座イプシロン星(ε Eri、K2V)の磁気活動周期(それぞれ約120日、約3年)が、より変動振幅が小さいHα線を用いても明確に検出されました。うしかい座タウ星の結果は、F型星はGK型星に比べて活動周期が短い傾向があるという最近の観測報告を支持しています。また、エリダヌス座イプシロン星で検出された活動周期は、この星で複数存在が報告されている活動周期のうちの最も短いものに対応し、GK型星で指摘されている複数の活動周期の共存を支持する結果となります。

この他にも、周期変動が一時的に見えたり見えなかったりする特異な振る舞いや、個々の星によって異なる磁気活動変動性の特徴を明らかにしました。さらに、ホットジュピター(近接巨大惑星)を持つ星における恒星-惑星間相互作用や、惑星探索に用いられる視線速度法に磁気活動性が及ぼす影響についても議論しました。

本研究成果は、日本天文学会欧文研究報告「Publications of the Astronomical Society of Japan」に2023年3月11日と12月4日の2回にわたって掲載されました(Lee, Notsu, Sato, "Magnetic activity variability from Hα line intensive monitoring of two F-type stars with a hot Jupiter, τ Bootis A and υ Andromedae A", "Magnetic activity variability of nearby bright Sun-like stars by 4 yr intensive Hα line monitoring")。筆頭著者は技術支援員の李さんです。