03. 消滅核種に関する研究
92Nb は,太陽系形成初期に存在していた放射性核種(消滅核種)のひとつで,現在ではすべて92Zr に壊変して消滅しています.半減期は約3700万年と,消滅核種の中では比較的長く,この92Nb–92Zr 放射壊変系を利用した年代測定法(相対年代測定法)は,太陽系形成初期の出来事を調べる新しい高精度年代測定法として期待されています.
本研究室では,隕石中に残されたわずかな同位体異常を高精度で測定することで,92Nb–92Zr 系を用いた年代測定法の確立に取り組んでいます.この年代測定法を実際に用いるためには,太陽系形成初期における 92Nb の初生存在度(初生比)を正確に決定する必要があります.羽場研究室では,この初生比を世界で初めて高精度に決定しており,現在ではその値が国際的な標準値として広く用いられています.
また,92Nb は超新星爆発によって作られる核種であるため,その初期存在量を調べることで,太陽系形成以前の歴史を探ることもできます.本研究室では,太陽系形成に寄与した最後の超新星爆発から,実際に太陽系が形成されるまでにどのくらいの時間があったのかを明らかにすることにも挑戦しています.



