04. 隕石の宇宙空間滞在記
隕石は,小惑星や火星,月などの天体から飛び出した後,長い時間をかけて宇宙空間を移動し,最終的に地球へ到達します。こうした「宇宙での旅の時間」を調べることは,隕石がどのように地球へ運ばれてきたのかを理解する上で重要です。
宇宙空間を移動する間,地球外物質は宇宙線と呼ばれる高エネルギー粒子に絶えずさらされています。その影響によって,岩石内部には宇宙線生成核種と呼ばれる特殊な同位体が少しずつ蓄積していきます。右下図は,Hayabusa初号機が持ち帰ったイトカワ粒子から検出された宇宙線起源 3He の質量スペクトルのピークです。地球の地殻岩石には 3He がほとんど含まれないため,この 3He の存在は,これらの粒子が宇宙空間にさらされていたことを示す重要な証拠となりました。
当研究室では,主に希ガス同位体を用いて,隕石が宇宙空間に存在していた期間を示す「宇宙線照射年代」の研究を行っています。宇宙線生成核種を調べることで,隕石が母天体を飛び出してから地球へ到達するまでの時間や移動履歴を明らかにするとともに,宇宙空間における宇宙線と地球外物質との相互作用の理解を目指しています。



