マントルウエッジの地震波異方性
北海道から関東北部までの範囲でS波スプリッティング解析を行い，速いS波の振動方向はスラブの収束方向ではなく，最大傾斜方向に向いていることを示しました．清水くんの修論にデータを追加して再解析した結果です．また，Nakajima and Hasegawa（2004, EPSL）の続きの論文です．この論文以降，異方性解析からは少し遠のいていますが，最近再解析してみようと考え始めました．
J. Nakajima, J. Shimizu, S. Hori, and A. Hasegawa
Shear-wave splitting beneath the southwestern Kuril arc and northeasternJapan arc: A new insight into mantle return flow
Geophys. Res. Lett., 33, L05305, doi:10.1029/2005GL025023, 2006. LINK
東北地方の地震波異方性
東北地方中央部のS波スプリッティング解析を行い，マントルの異方性が前弧と背弧で大きく異なることを示しました．海溝に直交する背弧側の異方性はマントル上昇流，海溝に平行な前弧側の異方性はBタイプのオリビンで解釈しました．ただし，その後の論文（Michibayashiet al., GRL, 2005; Katayama, Geology, 2009など）で，背弧側の異方性はスラブ直上やモホ面直下の異方性を反映しているという指摘もされています．博士論文の成果の一部です． 引用の多い論文の一つです．Nakajima et al. (2006, GRL) は続きの論文です．
J. Nakajima, and A. Hasegawa,
Shear-wave polarization anisotropy and subduction-induced flow in the mantle wedge of northeastern Japan
Earth Planet. Sci. Lett., 225, 365-377, 2004 LINK